腕のしびれや冷えを感じたら?「肋鎖テスト」でチェックする胸郭出口の状態
2026/03/23
腕のしびれや冷えを感じたら?「肋鎖テスト」でチェックする胸郭出口の状態
肋鎖テスト
「つり革を掴むと手がしびれる」「腕が重だるい」といったお悩みはありませんか? その原因の一つに、鎖骨周辺での神経や血管の圧迫が関係していることがあります。今回は、その状態をセルフチェック(または当院のアセスメント)で確認する「肋鎖テスト(ろくさテスト)」について解説します。
肋鎖テスト(Costoclavicular Test)とは?
胸郭出口症候群との関係
肋鎖テストは、胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)の可能性を確認するための徒手検査法の一つです。
私たちの体には、鎖骨と第一肋骨の間にわずかな隙間(肋鎖間隙)があり、そこを重要な神経や血管が通り抜けています。この隙間が狭くなり、神経などが圧迫されると、腕のしびれや冷えといった違和感が生じやすくなります。
2. テストの方法
専門的には以下の手順で行いますが、ご自身でも姿勢の変化による感覚の違いを確認できます。
1.基本姿勢: 胸を張り、肩甲骨を後ろに引いて下げます(軍隊の「気をつけ」のような姿勢)。
2.動作: 両腕を体より少し後ろに引き、さらに肩を後下方に押し下げます。
3.確認ポイント:
手首の脈拍(橈骨動脈)が弱くなるか、消失するか。
腕や手に「しびれ」や「痛み」が再現されるか。
【ご注意】 このテストはあくまで「状態の目安」を確認するものです。自己判断で無理に強く行わず、違和感がある場合は専門家にご相談ください。
3. なぜこのテストが重要なのか?
現代人はデスクワークやスマートフォンの操作で「巻き肩」になりやすく、知らず知らずのうちに鎖骨周りの隙間を狭くしていることが多いのです。
当院では、このテストの結果だけでなく、全体の姿勢や背骨の動きを詳しくアセスメントし、筋肉の緊張を和らげることで、神経や血管への負担を軽減するケアを行っています。
腕のしびれの正体はどこに?「肋鎖テスト」と「アドソンテスト」の違い
アセスメントの為のダブルチェック
手のしびれや冷えを感じる「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」。実は、神経や血管が圧迫されている「場所」によって、反応が出るテストが異なります。
今回は、当院でも状態確認のために用いる2つの代表的なテストの違いを分かりやすく解説します。
腕の違和感の正体を探る
アドソンテストと肋鎖テストの違い
1.肋鎖テスト(鎖骨と肋骨の間を確認)
チェックする場所: 鎖骨(さこつ)と第一肋骨(だいいちろっこつ)の隙間
主な原因: 巻き肩、重い荷物を肩にかける習慣、リュックの長時間使用など
テストの方法: 胸を張り、肩甲骨を後ろに引いて下げます(軍隊の「気をつけ」の姿勢)。
反応の出かた: この姿勢で手首の脈が弱まったり、指先にしびれが走ったりする場合、**「鎖骨周辺」**での圧迫が疑われます。
2. アドソンテスト(首の筋肉の間を確認)
チェックする場所: 首の横にある「斜角筋(しゃかくきん)」という筋肉の間
主な原因: デスクワークによるストレートネック、首の過度な緊張、上を見上げる動作など
テストの方法: 腕を少し後ろに引き、顔をしびれがある側に向け、さらに斜め上を見上げるように顎を上げます。
反応の出かた: この首の動きで手首の脈が弱まったり、しびれが強まる場合、「首の筋肉(斜角筋)」での圧迫が疑われます。
| テスト名 | 圧迫されている主な場所 | 関連しやすい日常動作 |
| 肋鎖テスト | 鎖骨と第1肋骨の隙間 | 猫背、重いカバン、なで肩 |
| アドソンテスト | 首の筋肉(斜角筋)の間 | PC作業、見上げる動作、首のコリ |
3. 当院のコンディショニング・アプローチ
これらのテストは「どこに負担がかかっているか」を見極めるための大切な指標です。
肋鎖テストで反応が出る方: 肩甲骨の動きをスムーズにし、巻き肩を調整するアプローチが効果的です。
アドソンテストで反応が出る方: 首の骨(頸椎)の並びを整え、首周りの筋肉の過緊張を解くことが優先されます。
「どこへ行っても変わらないしびれ」にお悩みの方は、まずご自身のお体がどのような状態にあるのか、一度詳しくチェックしてみませんか?
【競技別】アスリート・スポーツ愛好家のためのQ&A
Q1. 野球(投手):投球時に指先がしびれ、力が入らない感じがします。
A. 投球動作では、腕を大きく後ろに引く際に首の筋肉(斜角筋)が引き伸ばされ、逆に振り下ろす際には鎖骨周りが圧迫されやすくなります。
当院では「アドソンテスト」や「肋鎖テスト」を行い、首の筋肉の緊張か、あるいは鎖骨と肋骨の間の狭さか、どこで神経の通り道が妨げられているかをチェックします。
単なる「肩の使いすぎ」ではなく、首や胸郭のバランスを整えることで、指先の感覚やボールのキレを取り戻すサポートをします。
Q2. テニス・バレーボール:サーブやアタックの後に腕がひどく重だるくなります。
A. 頭より上に腕を上げる「オーバーヘッド動作」を繰り返す競技では、胸の筋肉(小胸筋)や鎖骨周辺に負担がかかり、血管を一時的に圧迫することがあります。
これは「肋鎖テスト」で確認できる状態と似ています。筋肉のポンプ作用が上手く働かなくなると、疲労物質が溜まり、独特の重だるさを引き起こします。
当院のアセスメントでは、肩甲骨の可動域を広げ、血管や神経の通り道を確保するようなコンディショニングを提案しています。
Q3. 登山・トレッキング:重いザックを背負い続けると手がむくんできます。
A. ザックのショルダーストラップによる圧迫は、まさに「肋鎖テスト」を長時間受けているような状態です。
鎖骨が第一肋骨に押し付けられ、腕への血流が滞ることで「むくみ」や「しびれ」が生じます。 これは「リュックサック麻痺」とも呼ばれる状態に近いものです。
当院では、背骨(胸椎)の柔軟性を高めることで、肩にかかる負担を分散させ、長時間の山行でも疲れにくい体作りをお手伝いします。
Q4. ウエイトトレーニング:ベンチプレス中に腕にピリピリとした違和感があります。
A. 大胸筋や斜角筋が発達しているトレーニーの方に多い悩みです。筋肉のボリュームが増すことで、皮肉にも神経の通り道が狭くなってしまうことがあります。
当院では、筋肉の「強さ」だけでなく「柔軟性」と「骨格の配置(アライメント)」を重視します。アセスメントを通じて、トレーニングの質を落とさずに神経への干渉を防ぐための、日常的なケア方法をお伝えしています。

