秋の大会へ夏の疲れを残さない!疲労回復アミノ酸スープ
2026/08/30
【執筆・監修】カイロプラクティック オフィス バランス ラボ 院長 笠井 宗明(カイロプラクティック理学士/コンディショニングの専門家) ※日々の臨床現場で小・中・高校生アスリートの身体ケアや動作指導を行う中で、夏の蓄積疲労とコンディショニングの重要性を実感しています。
夏の大会が終わり、新しいチームで秋の大会に向けた練習が始まる時期。 まだ残暑が続いている一方で、少しずつ気温や湿度も変化してきます。
この時期に保護者の方へ一度見直していただきたいのが、「夏を乗り切った身体の回復」です。
「毎日ご飯は食べている」 「練習も頑張っている」
それでも、
・練習後の疲労が翌日まで残る ・最近、ケガが増えてきた ・集中力が続かない ・練習後に食欲がない ・暑くなってから食事量が減った
そんな変化が出ているなら、練習量だけでなく、身体をつくる材料が十分に届いているかを一度考えてみましょう。
特に成長期の選手は、トレーニングによって身体を使いながら、同時に身体そのものも成長しています。
つまり、 「練習で消費した分を補う」だけではなく、「成長するための材料」も必要です。
そこで今回おすすめしたいのが、天然だしをベースに肉や魚、卵、豆腐、野菜などを組み合わせた「アミノ酸スープ」です。
成長期の身体は「練習」と「成長」を同時に行っている
サッカー選手にとって、トレーニングは身体を強くするために欠かせません。 しかし、成長期の選手では大人とは違い、トレーニングをしている間にも身体そのものが発育・発達しています。
JFAの栄養ガイドラインでも、成長期の選手は心身の両面から計画的かつ慎重にトレーニングを進め、必要な栄養と十分な休養をとってリカバリーすることが重要とされています。
これは非常に重要な視点です。
例えば、
トレーニング ↓ 身体への刺激・負荷
食事 ↓ エネルギーと身体をつくる材料を補給
休養・睡眠 ↓ 身体を回復させ、適応する
このサイクルがあって、次のトレーニングにつながります。 だからこそ、練習量を増やす時期ほど、「何を食べるか」もトレーニングの一部として考える必要があります。
身体をつくる材料、それが「たんぱく質」と「アミノ酸」
筋肉などの身体組織をつくる主要な材料の一つが、たんぱく質です。 そして、食事から摂ったたんぱく質は消化・吸収の過程でアミノ酸などに分解され、身体のさまざまな場所で利用されます。
成長期の選手にとっては、
・成長するための材料
・トレーニング後の身体を維持
・修復する材料 としても、たんぱく質は重要です。
運動習慣のある人では、一般的な成人より多くのたんぱく質が必要になることがあり、ISSNのポジションスタンドでは、運動習慣のある人について1日体重1kgあたり1.4~2.0gという範囲が示されています。
ただし、これは主に健康な運動習慣のある成人を対象とした整理です。 成長期の子どもでは、年齢、成長段階、体格、運動量などを考える必要があります。
そこで家庭で大切にしたいのが、数字だけを追いかけることではなく、 「肉・魚・卵・乳製品・大豆製品など、さまざまなたんぱく質源を毎日の食事に組み込むこと」 です。
「アミノ酸を摂れば回復する」ではなく、身体をつくる材料として考える
ここは、アミノ酸を考える上で大切なポイントです。 アミノ酸は「疲労を消してくれる特別な成分」ではありません。 アミノ酸は、身体を構成するたんぱく質をつくるための材料として重要です。
成長期の選手なら、 「身体が成長する」+「毎日のトレーニングで身体を使う」 という二つの仕事が同時にあります。
だからこそ、毎日の食事から身体をつくる材料を安定して届けることが重要になります。
たんぱく質だけではなく「エネルギー」も必要
もう一つ忘れてはいけないのが、エネルギーです。 身体をつくる材料としてたんぱく質を摂っていても、トレーニング量に対して食事全体のエネルギーが不足していれば、身体はさまざまな代謝のためにエネルギーを必要とします。
特にサッカーのように走る時間が長く、練習量も多い競技では、主食から摂る糖質も重要です。
JFAも、育成年代では活動量に見合った食事量を確保し、基本の食事として主食・主菜・副菜などを組み合わせることを重視しています。
つまり、 「肉を増やせばいい」ではありません。
ご飯などの主食+たんぱく質源+野菜など という食事全体が、身体づくりの土台になります。
では、なぜ「アミノ酸スープ」なのか?
ここで、今回のテーマであるスープの出番です。 夏の練習後は、身体が疲れているだけでなく、暑さによって食欲が落ちていることがあります。
「ご飯をたくさん食べよう」 「肉もしっかり食べよう」
と言われても、疲れ切った状態では食べること自体が負担になることがあります。 そこで考えたいのが、「必要なものを、食べやすい形にする」という方法です。
具だくさんのスープなら、
・天然だし ・肉や魚 ・卵 ・豆腐 ・野菜 ・きのこ ・海藻
などを、一つの料理に組み合わせることができます。 さらに、ご飯やうどんなどを組み合わせれば、糖質も補えます。
つまりアミノ酸スープは、特別な栄養食品ではありません。 「普段の食事を、暑い時期にも食べやすい形にするための家庭料理」という位置づけです。
「天然だし+具材」で考える、リカバリースープ
おすすめしたいのは、だし汁だけを飲むことではありません。 「だし+具材」で考えます。
・豚肉:たんぱく質に加えて、ビタミンB群を含む食品です。
・魚:たんぱく質に加え、魚種によってはビタミンDなども含みます。
・卵:たんぱく質をはじめ、複数の栄養素を含む食品です。
・豆腐・納豆などの大豆製品:たんぱく質や、食品によってはカルシウムなどを補うことができます。
・野菜:ビタミンやミネラルなどを補うために、さまざまな種類を組み合わせます。
・きのこ・海藻:食事の食品数を増やし、栄養の幅を広げる食材として活用できます。
このように、一つの食品にすべてを求めるのではなく、複数の食品を一つの料理に組み合わせることがポイントです。
豚肉+ニンニク・玉ねぎ・ニラという組み合わせ
今回、ぜひ覚えておいてほしい組み合わせがあります。 「豚肉+ニンニク・玉ねぎ・ニラ」です。
豚肉はビタミンB1を含む食品の一つ。ビタミンB1は、糖質の代謝などに関わる重要なビタミンです。 一方、ニンニクや玉ねぎ、ニラなどに含まれるアリシンは、ビタミンB1と反応して「アリチアミン」を形成することが知られています。
そのため、「豚肉+ニンニク・玉ねぎ・ニラ」という組み合わせは、栄養面から見ても非常に合理的な組み合わせです。
さらに、ビタミンB群はB1だけを単独で考えるのではなく、B2、B6、B12などを含めた食事全体からの摂取を考えることが重要です。 だからこそ、具材を一種類に固定するのではなく、肉・魚・卵・大豆製品・野菜などを日によって組み替えていきます。
成長期には「鉄」も忘れない
成長期のスポーツ選手で、もう一つ意識したいのが鉄です。 JFAは、学童期・思春期に不足しやすい栄養素の一つとして鉄を挙げています。
特に成長に伴う鉄需要の増加、激しいトレーニングによる需要増加、食事量不足や偏食など、複数の要因によって鉄が不足する可能性があります。
鉄が不足すると、貧血につながり、疲れやすさ、息切れ、めまいなどがみられることがあります。アスリートでは「疲れが抜けない」「練習についていけない」といった形で気づかれることもあります。
鉄を含む食品としては、
・赤身の牛肉 ・赤身の魚 ・レバー ・あさり・しじみ ・一部の緑黄色野菜
などがあります。 また、JFAは鉄の吸収を高めるビタミンCを含む食品との組み合わせも勧めています。
ここでも大切なのは、一つの食品だけに頼らないこと。 「今日は豚肉」「今日は魚」「今日は牛肉」と、食品の種類を変えていくことが、成長期の食事の幅につながります。
骨の成長にも「食事全体」が関わる
成長期には筋肉だけでなく、骨も成長しています。 JFAでは、最大骨量は20歳頃とされ、10代は一生の骨量を獲得する重要な時期とされています。
骨の健康を考えるときに代表的なのがカルシウムです。 しかし、カルシウムだけを摂ればよいわけではありません。 ビタミンDやビタミンKなど、さまざまな栄養素を含む食事が必要です。
だからこそ、乳製品だけでなく、魚、豆製品、野菜、納豆なども食卓に取り入れる。 このような「食品の多様性」が成長期の身体を支えます。
夏から秋へ。「回復」を次のトレーニングの準備にする
夏の大会が終わったからといって、身体の仕事が終わるわけではありません。 むしろ新体制になり、「次はレギュラーを取りたい」「秋の大会で結果を出したい」と、練習量が増えていく選手もいるでしょう。
だからこそ、今の時期に大切なのは、「さらに追い込むこと」だけではありません。 夏を乗り切った身体に必要な栄養を届け、次のトレーニングを受け止められる状態をつくること。
そのために、 主食+主菜+副菜という基本の食事を整えたうえで、食欲が落ちているときは、具だくさんのスープという「食べやすい形」を活用する。
これが今回お伝えしたい「アミノ酸スープ」の考え方です。
秋の新チームに向けて、家庭でチェックしたい7項目
夏を乗り切った今、ご家庭で一度チェックしてみてください。
- ☑ 練習後の疲労が翌日まで残っている
- ☑ 最近、練習後の食欲が落ちている
- ☑ ご飯などの主食を残すことが増えた
- ☑ 肉・魚・卵などの主菜を十分に食べられていない
- ☑ 食事の品数が減っている
- ☑ 練習量に対して食事量が足りているか不安がある
- ☑ ケガやコンディションの変化が続いている
複数当てはまる場合は、まず一度、練習量・食事量・睡眠・休養のバランスを家庭で振り返ってみましょう。 特に、疲れやすさ、息切れ、めまい、パフォーマンス低下などが続く場合には、鉄欠乏や貧血なども含めて専門家に相談することが大切です。
よくある質問
Q. アミノ酸スープは、プロテインの代わりになりますか? アミノ酸スープはプロテイン製品の代替品として考えるものではありません。肉、魚、卵、豆腐などの食品を具材として使い、普段の食事の中でたんぱく質を摂る方法の一つです。
Q. 練習後はスープだけでもいいですか? 練習量が多い場合、スープだけでなく、ご飯やうどんなどの主食も組み合わせることが重要です。スープを「食事そのもの」にするのではなく、食事を摂りやすくする一品として活用してください。
Q. 毎日同じ具材でもいいですか? できれば、肉・魚・卵・大豆製品などを日によって入れ替えて、食品の種類を増やしましょう。豚肉の日、魚の日、鶏肉の日、豆腐や卵を使う日など、無理なく変化をつけるだけでも十分です。
Q. 子どもが疲れていて食べてくれません。 量を増やすことだけを考えず、まずは「食べやすい形」にすることを考えてみましょう。スープ、雑炊、うどんなどは、その日の食欲に合わせて調整しやすい料理です。
まとめ|夏を乗り切った身体に、次の練習を始める前の「回復」を
成長期の選手は、「成長するための身体」と「競技のために鍛える身体」を同時に支えています。 だからこそ、トレーニングだけでなく、食事・睡眠・休養まで含めてコンディションを考えることが大切です。
特に夏から秋へ移る今は、夏場の練習や食欲低下などによって、食事が追いついていなかった部分がないかを見直す良いタイミングです。
・まずは毎日の食事を基本にする。
・ご飯などの主食をしっかり摂る。
・肉・魚・卵・大豆製品などからたんぱく質を摂る。
・野菜や魚、乳製品なども組み合わせる。
そして、暑さで固形物が進みにくいときには、「天然だし+たんぱく質源+野菜」を組み合わせた具だくさんのアミノ酸スープを活用する。
「特別なものを足す」のではなく、今ある食事を、身体が受け取りやすい形にする。 それが、夏を乗り切った身体を秋の新しいトレーニングへつなげる、家庭でできるリカバリー習慣です。
夏を乗り切った身体に、次の練習を始める前の“回復”を。
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【本コラムについて】
本コラムは、成長期の選手の食事や身体のコンディショニングについて、一般的な情報を提供するものです。特定の疾患や障害の診断・治療、個別の栄養指導を目的としたものではありません。
【体調不良や痛みがある場合】
強い疲労感、めまい、息切れ、発熱、激しい胃腸症状、関節や筋肉の強い痛みなどが続く場合は、自己判断で運動や食事管理を続けず、医療機関への相談をおすすめします。
【成長期の選手について】
成長期は、年齢や成長段階、体格、競技量、食事量、生活習慣などによって必要な栄養や休養が異なります。本コラムの内容を参考にしながら、選手本人の状態に合わせて無理のない範囲で取り入れてください。
【情報の取り扱いについて】
本コラムでは、公的機関やスポーツ栄養に関する資料・研究などを参考に情報を掲載していますが、掲載内容がすべての選手に当てはまることを保証するものではありません。

