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片足で立つとフラつくのはなぜ?|スポーツ動作を支える「足元と重心」のチェック

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片足で立つとフラつくのはなぜ?|スポーツ動作を支える足元と重心のチェック

片足で立つとフラつくのはなぜ?|スポーツ動作を支える足元と重心のチェック

2026/09/19

「片足で立つと、思ったよりフラつく」
「左右で立ちやすさが違う」
「スポーツをしていると、片足での着地や切り返しが安定しない」

このような経験はありませんか?

片足で立つとふらつくのは、単純に足の筋力が弱いからとは限りません。

片足になると、身体を支える面が小さくなるため、足裏から得られる感覚や、筋肉・関節から得られる固有感覚、視覚、前庭覚などの情報を利用しながら、身体の重心を支える足の上に保つ必要があります。

そのため、足首・膝・股関節・体幹の働きだけでなく、感覚情報を神経系が統合し、その時々の身体の状態に合わせて姿勢を調整する働きも関係します。

この記事では、片足立ちを「何秒立てるか」だけで判断するのではなく、どのように身体を支え、どのように姿勢を調整しているのかという視点から考えていきます。

片足で立つとき、身体では何が起きている?

両足で立っているときは、左右2本の足で身体を支えることができます。

一方、片足になると、身体を支える足が1本になります。

このとき身体は、

身体の状態を感じる

神経系で情報を整理する

必要な筋肉や関節の働きを調整する

という一連の過程を繰り返しながら、姿勢を保っています。

姿勢制御には、主に次のような感覚情報が利用されます。

・視覚:周囲との位置関係を把握する

・前庭覚:頭部の動きや重力に対する身体の状態を把握する

・体性感覚:皮膚や筋肉、腱、関節などから身体の状態を把握する

体性感覚には、皮膚から得られる触覚や圧覚だけでなく、筋肉・腱・関節などから得られる固有感覚も含まれます。

たとえば、「足がどこにあるのか」「足首や膝がどのくらい動いているのか」「身体がどちらに傾いているのか」といった情報も、姿勢を調整するために利用されます。

これらの感覚情報は単独で働くのではなく、神経系の中で統合されながら姿勢制御に利用されます。

小脳も姿勢や動きの調整に関わります

姿勢や運動の調整には、脊髄、脳幹、小脳、大脳など、神経系の複数の領域が関わっています。

その中で小脳も、身体の動きや姿勢の調整に重要な役割を持っています。

ただし、片足立ちが不安定だからといって、それだけで「小脳機能に問題がある」と判断することはできません。

片足立ちは、あくまでも感覚・神経・筋骨格系が協調して姿勢を保つ状況の一つを見るものです。

「重心」と「COP」は同じものではありません

片足立ちを詳しく考えると、「重心」と「COP」という言葉が出てきます。

重心(COM)とは?

身体を構成する各部分の質量分布から決まる、**身体の質量中心(Center of Mass:COM)**を指します。

簡単に言えば、身体全体の重さが集まっていると考えられる位置です。

身体を傾ければ、この位置も変化します。

COPとは?

COPは、Center of Pressure:圧中心の略です。

これは足裏の「一点」を意味するものではありません。足と床との間に生じる床反力の合力が、床面上のどこに作用しているかを示す位置です。

研究では、床反力計などを利用してCOPの移動を測定し、静止立位における姿勢制御の特徴を調べることがあります。COMとCOPは関連していますが、同じものではありません。

イメージとしては、

身体の質量中心(COM)が動くのに対して、足元から床へ加える力の位置(COP)を調整することで、身体の姿勢を保っていると考えると分かりやすいでしょう。

そのため、研究で「揺れ」を調べる場合にも、単純に「身体が何cm動いた」という一つの指標だけを見るわけではありません。

「フラつく=悪い」とは限りません

片足立ちをすると身体がまったく動かない人は、ほとんどいません。

立っている身体は、完全に静止しているのではなく、わずかに動きながら姿勢を調整しています。

そのため、少し揺れる=身体のバランスが悪いと単純に判断することはできません。

研究では、片脚立位の姿勢制御を調べる際に、COPの移動量や速度など、さまざまな指標が利用されています。

たとえば慢性足関節不安定症を対象としたシステマティックレビュー・メタ解析では、片脚立位中のCOPの揺れ方に、健常者との違いが認められました。ただし、これは慢性足関節不安定症という特定の状態を対象とした研究であり、すべての人にそのまま当てはめられるものではありません。

大切なのは、「揺れたか、揺れなかったか」だけではなく、どのように姿勢を調整しているのかを見ることです。

「立っていられる」と「姿勢を立て直せる」は別

ここはスポーツ動作を考えるうえで重要なポイントです。

静かに片足で立っているときと、

・着地したとき

・急に減速したとき

・切り返したとき

・相手との接触があったとき

・身体の位置が予想外に変化したとき

では、身体に求められる姿勢制御が異なります。

静かな状態で姿勢を保つことだけでなく、身体の状態が変化したときに、姿勢を立て直す能力も必要になります。

研究では、片脚立位中に予測できない外乱を加えると、外乱の方向や大きさ、速度によって、COPの移動や足首・膝・股関節の動き、筋活動などの反応が変化することが報告されています。

つまり、「片足で立てる」ことと、「崩れた姿勢を調整できる」ことは、同じ能力ではありません。

スポーツでは、後者のような動きの中で姿勢を調整する能力も重要になります。

自宅でもできる「片足立ち」3つのチェック

ここからは、身体の状態を知るための簡単なセルフチェックです。

これは診断や身体機能の判定を行う検査ではありません。

「何秒できたか」を競うのではなく、左右差や姿勢の変化を観察することを目的にしてください。

実施するときの基本条件

・裸足で行う

・平らで滑りにくい場所で行う

・視線は前方

・腕を大きく動かしてバランスを取らない

・無理に時間を伸ばさない

・ふらついたら、すぐに足を床につける

・転倒が心配な方は、壁や安定した机など、すぐにつかまれる場所の近くで行う

・痛み、めまい、強い不安定感が出た場合は中止する

STEP 1|両足から片足へ変えてみる

まず両足で立ち、その後、片足を床から離します。

ここで見るのは、

「片足になった瞬間、身体の動きがどのように変わるか」

です。

足を床についたら、そこで一度終了します。

保持時間を伸ばすことよりも、

・身体が大きく傾く

・足首が細かく動く

・骨盤が大きく動く

・上半身が揺れる

など、どこに変化が出るのかを観察してみましょう。

STEP 2|左右を比較する

右足、左足の両方で同じ条件で行います。

ここでは、

「右は安定しているのに、左では大きく揺れる」

などの左右差を確認します。

ただし、左右差があるだけで異常とは限りません。

利き足、運動習慣、過去のケガなど、さまざまな要因によって左右の使い方が異なることがあります。

そのため、左右差を「良い・悪い」と判定するのではなく、身体の特徴を知るための情報の一つとして捉えます。

STEP 3|片足立ちに簡単な腕の動きを加える

片足で立った状態から、片腕を前方へゆっくり動かしてみます。

腕を動かすことで身体の重さの分布が変わるため、それに合わせて姿勢を調整する必要があります。

ここでは、

・身体が大きく傾かないか

・支えている足が大きく動かないか

・骨盤や体幹がどのように動くか

・左右で違いがあるか

などを観察します。

不安定になったら、動きを小さくするか中止してください。

この3つのチェックは、研究で確立された一つの「診断テスト」をそのまま再現するものではありません。

あくまでも、片足立ちを「秒数」だけでなく、姿勢の変化として観察するためのBALANCE LABの考え方に沿ったセルフチェックです。

「10秒立てれば大丈夫」という意味ではありません

片足立ちについて調べると、「10秒立てるかどうか」という研究がよく紹介されています。

Araújoらの2022年の研究では、51~75歳の1,702人を対象として、10秒間の片脚立位ができるかどうかと、その後の全死亡との関連が調べられました。

研究期間中、10秒間の片脚立位を完了できなかった人では、調整後の解析で全死亡リスクが高かったことが報告されています。

ただし、ここで注意したいことがあります。

この研究の対象は51~75歳です。また、研究で示されたのは統計的な関連であり、「10秒立てないことが死亡を引き起こす」という因果関係を示したものではありません。

したがって、「片足で10秒立てれば正常」という意味でもありません。

年齢、身体状態、運動習慣、測定条件などによって片足立ちの結果は変わります。

片足立ちを見るときは、秒数だけで身体の状態を決めつけないことが大切です。

スポーツでは「片足で立てること」だけが重要なのではない

スポーツでは、片足で静止する場面だけが存在するわけではありません。

たとえば、

・走ってから片足で着地する

・減速して方向を変える

・切り返す

・ジャンプから着地する

・相手との接触後に姿勢を立て直す

など、身体が動いている状態で片足支持になる場面が数多くあります。

そのため、「片足で長く立てる=スポーツが上手い」とは言えません。

実際、バランス能力と競技パフォーマンスの関係は競技によって異なり、片足立ちなどのバランス能力だけで競技能力を説明することはできません。

重要なのは、

静止しているときだけでなく、身体が動いているときに、足元から身体全体をどのように安定させ、必要な動作へつなげられるか

という視点です。

BALANCE LABでは「何秒立てるか」だけを見ません

BALANCE LABでは、片足立ちを単独の「できる・できない」で判断するのではなく、身体がどのように姿勢を調整しているのかを見ることを大切にしています。

たとえば、

1.両足で立ったときの姿勢

2.前後・左右の変化に対して姿勢がどのように反応するか

3.片足になったときの身体の揺れ方

4.左右でどのような違いがあるか

5.動作を加えたときに姿勢がどう変化するか

などを組み合わせて確認します。

必要に応じて、施術だけで終わらず、

・身体の使い方

・運動

・トレーニング

・セルフケア

・日常生活での身体の使い方

などにつなげていきます。

目的は、「あなたは片足で何秒立てます」と判定することではありません。

その人が、どのような条件で身体を不安定にしやすいのかを整理し、その情報を身体のコンディショニングに活かすことです。

こんな場合はセルフチェックを中止してください

片足立ちの練習やセルフチェックをしていて、次のような変化がある場合は無理に続けないでください。

・ふらつきが急に強くなった

・めまいがある

・しびれや脱力を伴う

・ろれつが回りにくい

・物が二重に見える

・強い頭痛など、普段と異なる症状がある

・足首・膝・股関節などに強い痛みや腫れがある

このような場合は、セルフチェックよりも医療機関への相談を優先してください。

よくある質問

Q. 片足で立つとフラつく一番の原因は何ですか?

一つの原因だけで決めることはできません。

片足になることで身体を支える条件が変わり、視覚、前庭覚、足裏などの体性感覚、筋肉・関節からの固有感覚などを利用しながら姿勢を調整する必要があります。

そのため、筋力だけでなく、関節の動き、感覚情報、姿勢の取り方、神経系による情報処理など、複数の要素が関係します。

Q. 片足立ちが苦手なのは筋力不足ですか?

筋力が関係する場合はありますが、筋力だけで説明できるとは限りません。

足首・膝・股関節の動き、足裏からの感覚、固有感覚、視覚、前庭覚、姿勢の調整方法なども関係します。

Q. 片足立ちは何秒できれば正常ですか?

すべての年代に共通する一つの「正常値」があるわけではありません。

特定の年齢層を対象にした10秒片脚立位の研究はありますが、10秒という数字をすべての人の正常値として使うことはできません。

Q. 片足立ちで小脳機能を確認できますか?

片足立ちだけで小脳機能を個別に評価することはできません。

姿勢制御には、小脳を含む複数の神経系と、視覚・前庭覚・体性感覚、筋肉や関節などが関係しています。

Q. 左右差があると異常ですか?

左右差があるだけで異常とは判断できません。

ただし、これまでなかった大きな左右差が急に出てきた場合や、痛み・しびれ・脱力などを伴う場合は、専門家や医療機関への相談を検討してください。

まとめ|「何秒立てるか」から「どう立っているか」へ

片足で立つとフラつくのは、単純に「足の筋力が弱いから」とは限りません。

姿勢を保つためには、

・視覚

・前庭覚

・足裏などの体性感覚

・筋肉・腱・関節からの固有感覚

・神経系による情報処理

・足首・膝・股関節・体幹などの協調

といった、さまざまな要素が関係しています。

そして、スポーツでは「静かに片足で立てること」だけでなく、動いている身体をどのように調整し、姿勢を立て直せるかも重要になります。

だからこそ、片足立ちを見るときは、「何秒立てたか」だけではなく、「どのように身体を支えているか」という視点が大切です。

BALANCE LABでは、骨格・筋肉だけでなく、神経・感覚・動作のつながりにも目を向けながら、痛みのない思い通りに動く体へつなげるためのコンディショニングを考えています。

参考文献

Chiba R, Takakusaki K, Ota J, Yozu A, Haga N. Human upright posture control models based on multisensory inputs; in fast and slow dynamics. Neuroscience Research. 2016;104:96-104. PMID: 26746115.

Sutton B Richmond, Fling BW, Lee H, Peterson DS. The assessment of center of mass and center of pressure during quiet stance: Current applications and future directions. Journal of Biomechanics. 2021;123:110485. PMID: 34004395.

Xue X, et al. Postural Control Deficits During Static Single-leg Stance in Chronic Ankle Instability: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Health. 2024;16(1):29-37. PMID: 36872589.

Freyler K, Gollhofer A, Colin R, Brüderlin U, Ritzmann R. Reactive Balance Control in Response to Perturbation in Unilateral Stance: Interaction Effects of Direction, Displacement and Velocity on Compensatory Neuromuscular and Kinematic Responses. PLoS One. 2015;10(12):e0144529. PMID: 26678061.

Araújo CG, et al. Successful 10-second one-legged stance performance predicts survival in middle-aged and older individuals. British Journal of Sports Medicine. 2022;56(17):975-980. PMID: 35728834.

Hrysomallis C. Balance ability and athletic performance. Sports Medicine. 2011;41(3):221-232. PMID: 21395364.

ご利用・ご閲覧にあたっての注意事項

本記事は、片足立ちや姿勢制御についての一般的な情報を提供することを目的としています。掲載している内容は、特定の症状や疾患の診断、治療を目的としたものではありません。

本記事で紹介しているセルフチェックは、ご自身の身体の状態を知るための参考情報であり、医学的な検査や診断に代わるものではありません。結果には年齢、身体の状態、運動習慣、測定条件などさまざまな要因が影響します。

痛み、めまい、しびれ、脱力などの症状がある場合や、身体の状態に急な変化がある場合は、セルフチェックを無理に行わず、必要に応じて医療機関へご相談ください。

※本記事の内容は、医学・運動科学に関する研究や一般的な知見をもとに作成していますが、個々の身体状態によって適切な対応は異なります。

バランス ラボ 【カイロプラクティック】

神経・骨格・筋肉の機能を調律します。

代表 笠井 宗明 BCSc,DACACD,CSCS

経歴:19年

・分析の強み: 1つの結果で判断しない。構造・神経・栄養のクロスチェックによる精密分析。

・解決の強み: カイロの枠を超えた、視覚・平衡感覚・固有感覚への多層的アプローチ。

・ゴールの強み: 痛みの消失は通過点。「思い通りに動ける喜び」を取り戻す場所。

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